土地
一人暮らしの平屋に、土地は何坪必要?
mai|二級建築士
「いい土地」より、いい暮らしを考える。
一人で暮らす小さな平屋を考えるとき、
「土地は何坪くらい必要なんだろう?」
「南向きの土地を探したほうがいい?」
「やっぱり、四角い土地のほうが建てやすい?」
そんな疑問が出てきます。
土地探しを始めると、つい「いい土地を買うこと」が目的になってしまいます。
けれど、本当の目的は、いい土地を手に入れることではありません。
その土地の上で、自分に合ったいい暮らしができること。
土地を選ぶときに、いちばん大切にしたいのは、そこだと思います。
「世間でいう、いい土地」は価格も高い。
東南角地。
南向き。
道路との高低差がない。
きれいな四角形。
十分な広さがある。
一般的に「いい土地」と呼ばれる土地には、こうした条件がそろっています。
もちろん、条件のよい土地には魅力があります。
ただし、誰から見ても分かりやすく条件のよい土地は、人気が集まりやすく、価格も高くなります。
そして、土地にお金をかけすぎてしまうと、建物に使える予算が少なくなることもあります。
土地だけを見れば理想的でも、希望する家を建てられなかったり、暮らし始めてから無理のある返済が続いたりしたら、本当に「いい土地だった」と言えるでしょうか。
土地の良し悪しは、建物によって変わる。
北向きだから、日当たりが悪い。
細長いから、使いにくい。
変形しているから、間取りが難しい。
周囲からの視線が気になる。
一見すると欠点に見える条件も、建物のつくり方によっては、メリットに変わることがあります。
たとえば、道路に対して閉じながら、中庭に向かって明るく開く。
細長い敷地だからこそ、奥へ進むほど景色が変わる家にする。
変形した部分を、庭や駐車場、外から見えにくい居場所として活用する。
南側だけにこだわらず、東西や高い位置から光を取り込む。
土地だけを見ていると欠点に思えたことが、建物と一緒に考えることで、その家らしさにつながることがあります。
だから土地は、土地だけで判断するのではなく、その土地にどんな建物をつくれるかまで考えて選ぶことが大切です。
小さな平屋なら、土地は30〜50坪がひとつの目安。
13〜15坪ほどの小さな平屋を建てる場合、土地は30〜50坪程度がひとつの目安になります。
ただし、必要な広さは建物の大きさだけでは決まりません。
車を何台停めたいか。
庭で何をしたいか。
道路がどちら側にあるか。
隣の建物とどのくらい距離を取りたいか。
その土地に、どのような建築上の制限があるか。
同じ40坪でも、土地の形や道路との関係によって、建てられる家は変わります。
反対に、広い土地であっても、すべてを使い切る必要はありません。
土地が広くなれば、購入費だけでなく、外構費や庭の手入れなど、暮らし始めてからの負担が増えることもあります。
大切なのは「何坪あれば安心か」ではなく、自分の暮らしに必要な家と余白が、無理なく収まるかどうかです。
土地の価格は、何で決まる?
土地の価格には、大きく分けて次のような条件が影響します。
周辺の環境
土地の形
方角
土地の大きさ
この中で、建物を建てたあとに変えることが難しいのが、周辺の環境です。
駅や買い物施設への距離だけでなく、周辺道路の交通量、音、夜の明るさ、近隣の雰囲気なども、暮らしやすさに関わります。
一方で、土地の形や方角、大きさは、建物の設計によって補えることがあります。
すべての条件を土地に求めるのではなく、建物で解決できる部分は少し譲る。
そうすることで、土地の予算を抑えながら、自分に合った暮らしをつくれる可能性が広がります。
土地は、朝・昼・夜に見に行く。
土地を検討するときは、できれば時間帯を変えて、何度か現地を見ることをおすすめします。
朝は、通勤や通学の人と車の流れ。
昼は、日当たりや周囲の生活音。
夜は、街灯の明るさや人通り、帰宅したときの安心感。
平日と休日でも、周辺の様子が変わることがあります。
図面や地図だけでは分からない、地域の空気やコミュニティもあります。
ひとりで暮らす家だからこそ、建物の中だけでなく、家の外にどのような暮らしがあるのかも大切にしたいところです。
土地を探す前に、家づくりの総額を考える。
家づくりで大切なのは、土地がいくらかではなく、土地と建物を合わせて総額いくらになるかです。
土地を先に購入してから建物を考えると、
「土地に予算を使いすぎて、希望する家が建てられない」
「地盤改良や造成、外構など、想定していなかった費用がかかった」
ということもあります。
だから私は、土地を決める前に、まず一緒に家づくりをする会社や設計者を選ぶことをおすすめします。
そして、
どんな暮らしをしたいのか。
どのくらいの家が必要なのか。
家づくり全体に、いくらまでかけるのか。
それを整理してから、土地に使える予算を決めていく。
土地を見に行くときも、建物を理解している人と一緒なら、その土地の欠点をどう生かせるか、希望する家が本当に建てられるかまで考えることができます。
いい土地ではなく、いい暮らしを選ぶ。
誰にとっても条件のよい土地が、自分にとっていちばんよい土地とは限りません。
南向きでなくてもいい。
きれいな四角形でなくてもいい。
必要以上に広くなくてもいい。
土地の欠点を建物で補い、ときには魅力へ変えることができれば、選べる土地は増えていきます。
土地だけを先に選ぶのではなく、暮らしと建物と予算を一緒に考える。
その先に、自分にとっての「いい土地」が見えてくるのだと思います。